二刀流にみる仕事のやり方
大谷翔平選手の活躍で流行語にもなった“二刀流”
語源は両手(右手と左手)にそれぞれ刀もしくは剣を持って、攻守をおこなう技術の総称。(Wikipediaより)
そこから発展して、酒も甘いものも両方好きなことや、
さらに二つの物事を同時にうまく行えることという使い方に発展した様だ。
日本で最も有名な二刀流は、宮本武蔵だったのだが、
この場合は同じ武器を両手に持っているオリジナルの二刀流。
しかし、大谷選手の場合は、ピッチャーとバッターという発展型の二刀流だ。
問題は同じ野球というフィールドであるが、
ピッチャーとバッターは全く別のモノであるということだ。
少年野球から高校野球まではエースで4番という存在が
チームにとっては大きな存在だが、
プロとなるとそう容易ではないのだ。
どちらも才能があるということと、
どちらも同時にやれるということは
全く別の話なのだ。
1つのゲームでピッチャーをやりながら
バッターをやるのは日本プロ野球でも一般的だ。
しかし、大谷選手がやろうとしているのは、
ピッチャーとして登板の機会がない日に
バッターとして出場するのだから、
相当なハードワークだ。
ピッチャーが使う身体の部位とバッターが使う部位は
違うのだが、疲労回復と身体の修復が追いつかないため、
ケガに繋がるリスクが高いのは当然だろう。
酷使する部位や筋肉が違っても、
回復・修復する自然治癒力が
通常の人間の数倍ない限り、
全身の疲労から故障となり兼ねない。
では、これがスポーツではなく、
労働社会に置き換えた時はどうだろうか。
労働人口の減少に伴い、副業の解禁と推奨が始まり、
ダブルワークなどは珍しいことではなくなってきた。
しかし、実際にダブルワークをする働き手は
その生活を長く続けることができるのだろうか?
フルタイムの仕事に夜間や週末の仕事を足すというのが、
通常のダブルワークだろうが、この場合、休日の減少に伴い、
疲労の蓄積が大きな懸念になる。
そして、その疲労がパフォーマンスの低下に繋がり、
本業への影響は免れないだろう。
そのため、企業としてはダブルワークを推奨するのは
全部ではなく、一部の職だけになるのが現実だ。
むしろ、本業での従事する時間を増やし、
類似した仕事を兼務する方が会社・働き手双方にとっては
効果的で効率的なのではないか。
今後は優秀な人材が会社を飛び出し、
複数の企業で類似した仕事を賄うことが期待される。
それには個々の得意・不得意を理解し、
得意なことに集中することが必要となるだろう。
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