経営方針を決める必要性!組織で新たな価値を生み出す戦略

経営方針を決める必要性!組織で新たな価値を生み出す戦略

企業経営を取り巻く環境は、日々変化をしているため、その変化に対応できないと生き残りが難しくなる程の厳しさです。

具体的に変化について行く経営ということは、どういう事でしょうか。

時代や状況と共に、私たちの価値観が変化していることが、市場のニーズとして現れています。

そのニーズに対応した価値のある商品やサービスを提供できず、
旧態依然とした組織のままでは、市場から見放されてしまうのです。

ですので、企業経営をする上で、新たな商品やサービスを提供する。

これを常に念頭に置きながら、組織を運営して行くことが必要です。

もちろん、その新たな商品やサービスは、
新たなニーズや価値を意識したモノにならないといけません。

同時に、今ある商品やサービスを新たな切り口で価値提供する。

これによりイノベーションが起こることも忘れてはいけませんし、
中小企業は、ここに意識を置くことが重要でしょう。

ここでは、既存の商品やサービスに主軸を置きながら、
新たな価値の創造と提供をする方法について解説して行きます。

従来の価値提供の見直し、棚卸し

小売やサービス業であれ、製造業であれ、企業は何かしらの価値を提供する組織として起業し、存続経営しています。

会社として、歴史が浅い場合、価値の提供が上手く出来ずに、残念ながら、企業組織として継続経営することが難しいことが多々、あります。

もちろん、一概に言い切れない場合もありますが、
市場の求める価値と提供していた商品やサービスのミスマッチが起きていたということです。

反対に、企業としての歴史が長ければ、
価値の提供経営が上手く行っている組織であると言えるでしょう。

仮に、現状は経営が厳しい場合でも、消費者や企業は、
何かしらの価値を感じているから、会社が継続している訳です。

製造業や小売業であれば、他社にない様な商品を製造若しくは販売していたり、
サービス業であれば、同業他社よりも優れたサービスを提供していたのかもしれません。

多くの場合、商品やサービスその物は、会社組織若しくは個人経営者が提供している価値の一部でしかありません。

例えば、商店街の八百屋さん。

野菜や果物を販売しているので、商品としては野菜や果物しかないかもしれませんが、

新鮮な商品を提供し、目利きの店主とのやり取りをお客様が楽しんで、買い物をしているかもしれません。

無形のサービスを提供する、社会保険労務士や弁護士事務所。

顧問先の企業が求めるものは、困りごとや悩みを相談出来たり、
実際に問題を解決してくれることになりますが、
どれだけ親身になってくれるかという属人的な要素も大きいでしょう。

多くの企業の場合、提供している商品やサービスが、当たり前のものになっており、
どこにお客様が価値を感じているのか解らなくなっているケースが多く、見受けられます。

例えば、先述の商店街の八百屋さん。

新鮮な野菜の提供ということだけで言えば、
その地位はインターネットによる通信販売などが取って代わってしまう可能性があります。

社会保険労務士や弁護士事務所も同様です。

文章作成や申請手続きなどのサービスだけでは、地域の士業の先生にお願いするという意義も薄くなるでしょう。

私の実体験ですが、試算表と決算書の作成をお願いしていた会計事務所に、銀行への同行をお願いした事がありました。 

ですが、先方の公認会計士の都合が合わない
という理由で、簡単に断られてしまった事がありました。

急なお願いだったのは事実ですが、こちらとしては緊急事態で、
他のスタッフなら同行出来るなどの代替え案が欲しかったのですが、
その様な提案もなく、それを機に顧問契約を打ち切った事がありました。

反対に、ネットによる価値提供を検討することで、市場の拡大はしやすくなることも事実です。

「創業40年の老舗八百屋が目利きした、新鮮な野菜を即日発送します」とか、
「助成金申請実績累計2,000件の敏腕社会保険労務士が、あなたに代わって書類作成します」
とかです。 

既に、類似したサービスがネットに氾濫していますが、地域のお客様だけでは厳しい。

そうであれば、
どうやったら地域外のお客様にも価値を提供出来るかを検討してみることも重要です。

但し、既にある基盤を捨ててまで、新しい市場に飛び込みのは得策ではありません。

プラスアルファで考えるのがポイントです。

先ずは、実際のお客様がその会社や個人の何処に価値を感じてくれているのか、直接、聞いてみることで、既存の商品やサービス提供を見直して、強みのブラッシュアップをすることが最優先ではないでしょうか。

リサーチは、アンケートであったり、ヒアリングなどで一定数の調査をすることをオススメします。

組織が大きく、部門や部署が変われば、提供している商品やサービスについては、意外なほど理解していないものです。

ですので、社内で自社組織の強みを想像するよりも、顧客に聞く事が一番でしょう。

組織としての価値提供経営

先述の通り、人を通して行われる多くのサービス提供は、
組織としてではなく、属人的に 要素が多くなりがちです。

ですが、商品やサービス提供を沢山のお客様に行う場合、
可能な限り、属人的な要素は排除することが会社経営上は望ましいでしょう。

そうすることで、実際にどの部分でお客様が価値を感じているのかが、より明確になるのです。

商品を製造・販売する会社の営業マンが、取引先の経営者を接待するというのは、提供する商品力だけでは他社に遅れを取ってしまうと感じているからかもしれません。

ですが、実際は分からないのです。

接待を止めたら、取引がなくなるのかというと、そうでもない場合が実は多いのです。

もしかすると、取引開始のキッカケは、接待かもしれませんが、思っている以上にお客様は商品に価値を感じていることも多いのです。

属人的な一個人として、お客様に提供できる価値には、限りがあります。
あくまでも、組織として、チームとしての価値提供を意識しないと、
担当者が変わったり、辞めた途端に、取引がなくなるということも珍しくありません。

組織としての価値提供があり、その上での個人のサービス提供がある経営が理想でしょう。

人材の確保や人件費の問題も重なり、ITを使ったサービス提供が増えています。

これによって提供する価値のレベルは、均一化され、
再現性も高まるので、多店舗展開が しやすくなる経営上のメリットも出てきます。 

そのためには、ITと同時にマニュアル化も組織的な導入には必須です。 

ですが反対に、他社に真似が出来ない、属人的な要素によって価値を提供し続ける経営。

個人事業主一店舗で、あえて大きくしない、広めない経営も戦略としては有効です。

誰でもできる再現性の高いやり方は、真似することも可能ですので、数の原理が働く、大手の経営戦略としては有効でしょう。

人によるサービスによって差別化するのであれば、
担当者による出来映えも許容しないといけません。

担当者の変更による顧客の離脱や、担当者を変更しない場合に起こり得る問題を想定する。

個人事業主の場合は、親族に事業を継承せずに一代限りで閉めたり、
スタッフに継承させることなどを事前に考えておく事が必要でしょう。

まとめ

組織の経営をする際に、人、モノ、金、情報などの経営資源の何処に強みを見いだすのか。

それによって属人的なサービスを提供するのか、
均一化されたサービスを提供するのかという戦略が変わります。

どちらの価値提供にもメリット、デメリットがあるので、
どちらの戦略を取るのが自社に相応しいかが重要です。

それらのリスクやコストを事前に想定した上で、組織的な経営戦略に舵を切るのか。

俗人的なサービス提供をあえて売りにする経営をするのか
という経営方針を決める必要があるのです。

多くの中小企業の場合、経営資源に限りがあるので、
どちらかに偏った戦略に舵を切りにくいかもしれません。

将来的にその会社をどうしたいかによって、長期的な戦略を考えることは当然。

ですが先ずは、商品やサービスの棚卸を行い、
人によって出来栄えが変わってはいけない共通部分を組織内で確認する。

そこから始めてはいかがでしょうか。