働き手はどこへ消えた?人材不足の原因を考える③

働き手はどこへ消えた?人材不足の原因を考える③

求職者と企業側の条件をめぐる選り好み

「雇用形態、賃金で求職者と企業側の希望が合わない」
というのも原因の一つになっている。

正規雇用を望む求職者と
時間で働いてくれる労働者を望む企業
というパターンが最も多いだろう。

正規雇用を望む一番の理由は、
社会保険への加入が挙げられるだろう。
扶養家族が多ければ、そういうニーズも高いのは事実だ。

企業側としては、
社会保険料の負担が大きいことや
仕事量がそれほどないという事もある。

季節による繁忙期・閑散期の差が大きい場合も
正規雇用というのは企業側にとっては
リスクになりやすい。

反対に、企業側も同じ人が一つの仕事を担うことを前提に
フルタイムで仕事を望んでいるが、
対象となる求職者がいない場合も多い。

その場合は、賃金・職種が
求職者の希望と合わないという事だ。

賃金の場合、求職者が希望する金額より
企業側が提示している金額が少ない
というケースが多いだろう。

これは企業側は、全体の利益などを考えて、
その職種に充当できる人件費を考えての事が多いが、
その職種が生み出す利益を踏まえてのこともある。

求職者は、単純に自分が欲しい金額と
その職種を結び付けているだけで、
数値的な根拠がない場合が多い。

雇用形態・賃金はマッチングするが、
通える範囲ではない、
交通費を全額出せる範囲ではない
という地域としてのミスマッチも多い。

極端な例で言えば、
働きたい仕事は東京にはあるが、
地元にはないという場合だ。

もちろん、人口が多い処に仕事が集まるのは
当然のことなので、地方にはない物が首都圏にはある
という事になる。

若者を中心に人が首都圏に集まると
それに付随して、新たなビジネスが生まれ、
そこに新たな雇用も生まれるという事が
繰り返されているのだ。

最後に職種の選り好みだが、
これは求職者による思い込みも多いが、
企業側による偏見も多い。

自分は事務の仕事しか出来ないとか
営業はキツイとか、
工場なら時間で仕事が出来るとかだ。

反対にこの仕事は男性より女性が向いている、
女性にはこの仕事は無理だ、
40歳を過ぎるとこの仕事は難しいとか
その様な偏見もあるのが事実だ。

3回に渡って、人材不足の原因を書いて来たが、
企業と求職者側が双方、選り好みをやめて
雇ってみる、働いてみるという柔軟さが求められている
というのが現段階での結論だろう。

雇用という形態ではなく
仕事の外注というのも
今後、どんどん増えてくるだろう。

その様な時代に
一つの会社が一人を拘束するとか
働く側が身の保全を考えるというのは
時代に合わなくなってくるだろう。

それに双方、新たなチャレンジが必要な時期に
来ているのではないだろうか。