後継前に知っておきたい資金繰り!キャッシュフロー経営で1年先を予想する
多くの後継者候補、家業を継ぎたいと志す方々には、
残念ながら、様々な経験が不足していることは否めません。
経験が不足していると、知恵が足りず、知識が不足し、
結果として多くの場合、判断を誤るという事が起きてきます。
その中で最も重要なのが資金繰り。
ですが、多くの後継者は、資金繰りより他の課題に目を奪われがちです。
確かに社員満足度、顧客満足、新規事業など
企業には問題が山積みですが、それも企業が存続してこその課題です。
では何故、後継者は資金繰りを最重要課題と捉える事が出来ないのでしょうか。
それは多くの場合、どうにか会社が回っていたり、資金繰りを他の誰かが心配をしてくれていたりするからです。
それは多くの場合、現経営者であったり、経理・財務の担当者であったりします。
会社の業績がどんなに悪くても、仮に売上がゼロでも、お金さえあれば、会社を続ける事が出来ます。
この当たり前の論理が、実際に会社経営をしてみないと理解できないのです。
その資金、お金が何処から出てきたお金かは問題ではありません。
現金さえあれば、どうにかなるのが会社経営なんです。
ここでは、最重要な後継者が会社を継ぐ前に知っておきたい資金繰りの話をしていきます。
後継前に資金繰りを学ぶ難しさ
既に会社経営をされている方には当たり前の資金繰りの重要性は、
実際に会社を継いでみないと後継者には分かりません。
理屈では分かるけど、肌感覚では分かっていない。
経営者、先代からすれば歯痒い思いをされることでしょう。
ですが、帳面上だけではその重要性というか、恐ろしさは分からないでしょう。
私自身、父の代から資金繰りをやっていましたが、
「足りなければ借りる」という父の感覚に嫌悪感を頂いていました。
「借りたお金は返さないといけないし、誰がそれを返済するのだろう。」
「根本的な解決策になっていない」
その様な感情がその嫌悪感の原因だったと
今なら振り返る事ができますが、当時の私には難しい話です。
経営者とすれば、資金がショートするのが一番怖いのです。
その恐怖を少しでも安心材料に変えるのが資金繰り表です。
資金繰り表を作ることの最大のメリットは、売上がゼロでも会社継続に必要な経費がわかる点です。
つまり、会社の財務状況を加味すれば、仮に売上ゼロでも営業が続けられる期間が分かる訳です。
ここに会社の売上や集金などを予測して、月々の資金繰りを考えて行くのですが、
営業活動によって生まれるキャッシュフローは読むのは、正直かなり難しいです。
業種にもよるのですが、年間の売上が読める様な業態ではなく、日銭を稼ぐ様な小売りは特に難しいです。
ですので、楽観視せず、厳しめの予測をしておかないと、資金繰りは厳しくなります。
Q1.自社の財務やキャッシュフローの状況を説明でき、売上ゼロで会社の営業が続けられる期間を知っていますか?
役員報酬ゼロで資金繰りをしてキャッシュフローを回すこと想定する
実際に資金繰りをしていると、減らせる経費がなく、
役員報酬つまり経営者の給与を減らす必要が出て来ることもあります。
キャッシュフローが厳しいのであれば、
額面の役員報酬を減らすのではなく、会社から持ち出す現金を減らす事が必要なのです。
つまり、毎月家に入れていたお金を減らすという事になります。
これは、かなり厳しい状況ですし、ご家族に心配や迷惑を掛けることになります。
本当に厳しい状況では、起こり得ることなのですが、業績が好調である期間が続いたり、その様な状況で後継するとその様な一大事が訪れるなんてことを想像することは難しいのも事実です。
会社が厳しい状況が長期間続くと、役員報酬の減額も経営者のメンタルに大きな影響を与えます。
ですので、例えば1年間、支給ゼロにしたとしても、1年後には役員報酬を戻す様な計画が必要です。
継いだ会社の業績が芳しくない、業種の将来性に不安があるなど、
後継者として、不安材料が多いと、目の前の業種に集中する事が難しくなり、
新規事業を行ったり、業務の改革を行ったりしようと志すのは当然でしょう。
ですが、それも本業、現在の業務が順調である事が前提となっているのであれば、
そこに注ぐエネルギー、時間や労力もある程度は割かないといけないということになります。
勿論、新規事業は別会計で金融機関からの借入だったり、経営者の資本投入、
若しくは、外部からの出資などがあれば、メインの業務と分けて考えることも出来て理想的です。
Q2.1年間、役員報酬を受け取らなくても生活できるだけの貯蓄がありますか?
まとめ
多くの中小企業の経営者が、資金繰りで日々、悩んでいます。
それを悟られない様に振舞っている経営者も多く、
そのため後継者にその苦悩が伝わらない場合もあります。
会社を存続させる、継続させるには、お金が必要です。
極端に言えば、お金さえあれば、会社は潰れません。
これから会社を継ごうという後継者候補にとっては、
この様な話は聞きたくないかもしれませんが、実際の会社経営は泥臭いものです。
中小零細企業の経営者と会社は、一連托生。
その覚悟ななければ、会社経営はできませんし、軽い気持ちで会社は継ぐべきではありません。
多くの企業で後継者がいないという問題が現在、日本中で起こっています。
理由は様々ですが、その一つに資金繰りが厳しいという現実的な問題があります。
これから会社を後継者に任せて行きたいとお考えの現経営者は、
現行のまま、引き継いでもらうことに拘らず、負担を減らして後継する検討が必要でしょう。
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